銀座の取り組み

「六十歳の新入社員」 (株)銀座 山木戸本店 濱野 千恵子

2017.03.07

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2016年第4回ありがとう物語
優秀賞「日本ユニフォーム協議会理事長賞」
「六十歳の新入社員」
(株)銀座 山木戸本店 濱野 千恵子

当社の販売員として採用していただいてからまもなく一年が経とうとしています。入社のきっかけは、新聞折り込みの「シニア(40歳~)の女性の為の面接会」と書かれた求人広告でした。すでに長年務めた会社を定年退職し、六十歳の私は『図々しいな…』と思いながらも、え~い、ダメ元!と採用面接に応募しました。ありのままの自分をさらけ出し、持ち前の明るさと元気で面接に望みました。年齢を考えたら絶対無理だと解っていたので、話ができただけでも有り難いと思い帰宅したところ… なんと、なんと!「ぜひ当社に来てください!!」と合格の電話をいただいたのです。本当に嬉しく天に舞い上がるような気持ちでした。この日、私は、銀座の新入社員として謙虚な気持ちでゼロからスタートしようと強く心に決めました。
会社では、私よりずっと若い方々の中で働き、店内での販売業務と企業様への営業が自分の仕事です。この年齢で新しい仕事を覚えるのは大変ではありますが、思いがけない出会いや発見もあり、ドキドキワクワク楽しく仕事をしています。

入社3か月目の出来事です。仕事着一式を彼にプレゼントしたい、という若い女性のお客様の応対をしました。その方は「もし、サイズが合わなかったら、交換していただけますか?」とおっしゃいました。私は懸命に覚えた会社のマニュアル通り、期間以内に、タグを外さない状態で、レシートが必要な事をお伝えし、最後に「何かあったら濱野までどうぞ」と名刺をお渡ししました。

二日後、そのお客様は彼と一緒にご来店され、ズボンのサイズ交換を依頼されました。 「彼は色をとても気に入ってくれて…でも太っちゃったのね…」。この微笑ましいお客様のつぶやきに、私は「よくいらしてくれました」と申し上げたところ「だって、濱野さんが交換大丈夫ですって言ってくれたから…」とニッコリ笑顔でおっしゃいました。
60歳のおばちゃん販売員を頼って再度ご来店された、この若いお客様に感激し、益々やる気が湧いてきました。お客様との絶対的な信頼関係を築くことで、より充実した販売ができるのだと、改めて学びました。それには商品知識、応用力、接客ノウハウなど、身に着けなければならないことがまだまだ沢山あります。私のような見た目、大ベテラン、実は新入社員にとって、毎日が勉強の日々です。

こんな私を銀座の仲間達はとても優しく指導してくださいます。この歳になって、こんなに素晴らしい環境で仕事ができ、充実した毎日を送り、本当に幸せだと思います。
今年95歳になった母に「あんた、銀座さんに入社してから、いい顔になったね。良い会社に入ったね。」と言われました。今、私は人に望まれる幸せ、人のお役に立てる喜びを実感しています。採用してくださった会社に、支えてくれるスタッフの皆さんに、そしてお客様に深く感謝いたします。
これからはちょっと太めの“銀座のおばちゃん”の存在で、周りの方々に元気と勇気をあげられるようもっともっと頑張ります! 新入社員、濱野、60歳!今日も笑顔で行ってきます!

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